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緊急事態条項がそれでも必要だと主張する者に欠けている視点と罠

緊急事態条項が必要だという議論が絶えないようだ。
そもそも緊急事態条項というのは、何らかの事態を契機にして「国家権力は憲法を無視していいよ」というものだ。

憲法が何のために存在するかは下記の記事で詳しく指摘させていただいている。
※参考:憲法というのは個人の尊厳、個人の人権を守るために存在する、その憲法が破壊されようとしている

つまり、緊急事態条項は、「緊急事態が起きた場合には個人の尊厳を無視して国家権力が国民に何でもしても良い」ということなのだ。
そんなことを究極的に許せるかということなのだ。

善意で「緊急事態条項が必要な時がある」として賛成する人がいる。
一方で、「緊急事態を宣言することで、好きなように国民にいろんな権利義務を強いて支配をしたい」と考えて悪意で賛成する支配者もいる。

後者の支配者の理論は論外であり、われわれ一般市民は全力で反対しなければならない。
では、前者の意見はどうだろうか。

そもそも、法律は不測の事態に備えて、国家が国民に義務を課す目的で制定されている。
つまり、「こういうときには、こういう権利を制限したり、こういう義務を課すよ」というのをあらかじめ定めるのが法律なのだ。
だから、こういう時はどうすべきだとか、こういう時でもこういうことは許されないとか、日頃から議論しておき、それによって定められた法律というルールに従って、いざという時に備えるのだ。

にもかかわらず、普段から議論もせず、「何かあったら、何でも好きなように命令するよ」というのを認めるのは、議論の放棄である。
それに、不測の事態、緊急事態が起きてしまったとして、急に決めた政府の方針が「正しいこと」など、期待できるだろうか?
緊急事態条項に賛成の人には、具体的にどういう時にどういうことをするために緊急事態条項が必要なのかを説明してほしいものだ。
殆どの事は、日頃から準備していないだけであり、「緊急事態」というどさくさに紛れて、「日頃から強制したかった陰謀」を強制するだけのようにしか見えない。
緊急の事態であれば、緊急の事態だからこそ、守るべき権利は守らなければならず、個人の尊厳は冒されるべきではないのだ。

コロナの騒動で日本ではほぼワクチンが強制的に大量接種された。
「コロナという緊急事態だから治験中のワクチンを打ってください」という空気が日本全土を流れ、殆どの人が打ってしまったようだ。
これはまさに、あたかも緊急事態条項が発令されたのと同じ状態だろう。
その結果はどうであったか?
有史以来の大規模薬害問題に発展した。
政府は様々なクレームや訴訟に対して火消しに走っており、同じようなことを回避するために「緊急事態条項」を設けたいだけのようにしか、筆者には見えない。

他国から戦争を仕掛けられた時のために緊急事態条項を定めるべきだという者もいる。
これこそまさに、法律や憲法を何もわかっていない者の主張である。
そういった有事の際に、軍隊などにどのような指揮監督権を持たせるか、誰に責任を負わせるかなどを、どの国もあらかじめ法律などで定めているのである。
日本では自衛隊は軍隊ではないということにしており、その自衛隊の指揮監督権や責任の所在も何も定めていない。
緊急事態条項を定めようという議論をする前に、それらについて議論して定めれば良いだけの話である。

以上のことを無視したり、知らないふりをして、「有事にかこつけて、国民を好き勝手に支配できるようにしよう」という陰謀が、緊急事態条項の賛成者からは感じるのである。
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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

TAG : インテリジェンス緊急事態条項薬害問題憲法改正

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